皆様、お久しぶりです。

さて、今回は、「パソコンの作り方」と題しまして、FIAでお受けする「オーダーメイドPC」がどのように作られるか、ご紹介したいと思います。

本記事ではハードウェア組み立てまでを扱い、システムチェック(テスト)とOSインストールは別記事にしたいと思います。

今回作成するPCについて

今回作成するPCは、一部の方にはこっそりお知らせをしていますが、実はとある商材の代理店を始めることになりまして(半年以上前から計画していましたが)、そこで必要となる、「自己使用」の機材となります。かなりの処理能力が要求される用途ですので、現状コンシュマー向けに選べる構成の中ではかなり上位なスペックで構成されています。

構成リスト

今回製作するPCの主要パーツは以下の通りです。

[CPU] Intel Core i9 9900K BOX
[CPUクーラー] Nocuta NH-U12A
[マザーボード] MSI MPG Z390 GAMING PRO CARBON AC
[メモリ] Corsair CMK32GX4M2A2666C16 [DDR4 PC4-21300 16GB×2]
[グラフィックボード] GeForce RTX 2080 Ti GAMING X TRIO [PCIExp 11GB]
[OS] Windows 10 Home 64bit 日本語 DSP版
[SSD] WD Blue SN500 NVMe WDS500G1B0C [M.2]
[電源ユニット] Toughpower Grand RGB 1050W Platinum PS-TPG-1050F1FAPJ-1 [Black]
[ケース] Define R5 Window FD-CA-DEF-R5-TI-W [Titanium]

この時点で電源のみ届いてなかったので欠席扱い。

マザーボードにCPU/CPUクーラーを装着

マザーボード(中央)、CPUクーラーのヒートシンク部(左)、冷却ファン(右)

CPU( Central Processing Unit)とは、日本語に訳すと「中央処理装置」。
パソコンで行われるほぼ全ての処理を司る中心パーツです。
ですが、CPUだけではパソコンは何もできません。CPU単体で転がっていても、ただの石ころと同じです。
CPUは、マザーボード(主回路基板)上に取り付けられたチップセットと呼ばれる部品を介して、メモリやその他の各パーツを利用してはじめて機能します。

マザーボード上の、CPUを取り付ける部分(画像中央)(CPUソケット)

(画像ではCPUクーラーの土台の一部が取り付け済みになっています)
細かいピンがたくさんありますが、誤ってこれを折ったり曲げたり食べたりしてしまうと、そのマザーボードはもう使えなくなります。

CPU(Core i9 9900K)の裏側。
この細かい端子1つ1つが、上の画像にあるCPUソケットのピンと対応しています。
暇な方はいくつあるか数えてみてください。
CPUを取り付けたところ。
今まで数えきれないほどPC組み立てをしてきましたが、やはりここが一番気を使います。

この後は、CPUとヒートシンクの間に熱を伝える役目をするグリスを塗ってから、ヒートシンクを取り付けるのですが・・・画像を撮り忘れました。
グリスの塗り方は、ヘラで薄くまんべんなく塗る派と、米粒大~小豆大のグリスを中央に載せてそのままヒートシンクを押し付ける派と、CPU上に×印を描くようにグリスを載せる派と・・・まぁいろいろ人によってうんちくがある部分です。
私の場合は・・・今までいろんな方法を試しましたが冷却性能に関して有意な差がないので、どの方法がベストか断言しかねます。
が、間に空気を含むと熱伝導率は絶対に落ちるので、そこだけは注意が必要です。なのでヘラで丁寧に塗ろうとしてこねくり回すよりは、中央にちょっとグリスを載せてヒートシンクで圧着してしまったほうが確実ではないかと思います。

ヒートシンクの底面はCPUとの接触面積が最大になるよう、しっかり研磨されてピカピカ。
ここを通してCPUの発する熱は多数のフィンで構成されるヒートシンク上部へ伝わっていく。
ヒートシンクを取り付け、冷却用のファンも取り付けたところ。
今回使用したNocuta NH-U12Aは120mmファン2基を使ってCPUの熱を強力に冷却する。
・・・がしかし、デカい。

メモリ取り付け

CPU、メモリ、HDD(もしくは最近はSSD)は、書斎に例えるならば、
 CPU・・・仕事する人
 メモリ・・・机の上
 HDD(orSSD)・・・書棚
の役割をします。
どんなに優秀で仕事ができる人でも、机の大きさがシルバニアファミリーではまともに仕事ができません。
どんなに机が大きくても、書棚の大きさがシルバニア(以下略では、できる仕事はほとんどありません。
どんなにいい机と書棚のある完璧な書斎を用意しても、元々仕事のできない人が使ってもいい仕事ができるようにはなりません。

たくさんの資料をしまっておける書棚があって、それらを広げて作業できる十分な広さの机があって、そこに仕事のできる優秀な人を配置する。全てが揃わなければ、効率のいい仕事はできないのです。

というわけで、十分な広さの机(16GB×2=32GB)を取り付けします。

このマザーボードの場合、メモリスロットは4本。
上(CPU側)から順に A1、A2、B1、B2となっている。

このうち、A1とB1、A2とB2をセットで同容量を2枚指すと、「デュアルチャンネル」となり、簡単にいうとメモリへの読み書き速度が倍になる。
そしてマザーボード上の刻印により、4スロット中2枚を刺して使う場合は A2とB2の組み合わせから使う事が指示されていることがわかる。

今回使用するメモリ。

若干ピンボケしているがパッケージ右上にDDR4 2666MHzとあるのがメモリの規格と動作クロック数。規格はマザーボードで指定されたものしか使用できない。
高速でデータを読み書きするため、近年のメモリは昔よりずいぶん発熱するようになった。
ひと昔前はヒートシンク(外装)のない、メモリチップむき出しのものが多かったが、できれば上記のようなヒートシンク付きタイプの利用がシステムの安定のためには好ましい。

メモリを装着したところ。

M.2 SSDの取り付け

TURBO M.2と書かれた何やらかっこいい?形状のアルミパーツがヒートシンク。
M.2SSDはこの下に接続します。

SSDではコスト的に見合わない大容量データを扱う場合はHDDを使用しますが、OS(Windows)とソフトをいくつか入れるだけで大容量データを扱わない場合や、大容量のデータは別途HDDを用意するといった場合は、Windowsやソフトをインストールする先はSSDにするとかなり体感速度が変わります。(ざっくり倍速になると思ってOK)

HDD・・・ハードディスクドライブ
金属の円盤に磁気でデータを記録します。読み書きは円盤を回転させて、読み書きのヘッドがレコードプレイヤーのように該当箇所に移動して読み取ります。

SDD・・・ソリッドステートドライブ
円盤ではなく、半導体チップにデータを記録する。(一般的に)HDDより高価だが、金属の円盤を回さなくていい、読み書きにいちいち物理的に読み取りヘッドが移動しなくていいことから、省電力かつ高速。しかも以前より価格も下がり、導入しやすくなっている。

SSDには、従来のHDDと同じSATA接続タイプと、M.2という接続タイプがあります。
そしてM.2の中にも、内部的にSATAで動作するものと、PCI-Eという規格で動作するものがあり、SATAで動作するものはHDDと同じ接続方法をした場合とかわりませんが、PCI-Eタイプの場合はただでさえ高速なSSDがさらに高速になります。
(だいぶ端折った説明です。詳しく知りたい方はこのあたりが参考になると思います)

M.2よりもSATA接続のSSDの方が若干安価で放熱も有利ですが、今回は配線を極力減らしたいためにM.2のSSDを採用しました。
SSDは高速でデータの読み書きができますが、発熱量がかなりあり、一定温度以上になると破損を防止するために読み書き速度を自動で抑制します。
(サーマルスロットリング)

今回仕様するマザーボードには標準でM.2用のヒートシンクが備わっており、事前に調べた情報では十分に放熱ができるようなのでOKですが、ヒートシンクが備わっていない場合、別途取り付けが必要になります。

容量は500GB。長時間高画質の動画等を扱わなければ十分な容量です。

SSD(青いラベルの、22mm×80mmの基盤)を取り付けたところ。

画像を撮り忘れましたが、SSDを取り付けたら先に取り外したヒートシンクを戻します。

ケースに組み込み、電源やその他配線を接続する

今回使用するケース。

静粛性と冷却性能のバランスがよく、おすすめの一品。
内部に2.5インチベイ(HDDなどを搭載するスペース)が8台分あるが、使わない場合は全て取り払うことができる。取り払うことで内部のエアフロー(空気の流れ)を良くして高い冷却効果が期待できる。

マザーボードをケースに収めたところ。
画像右側の空白部分には、3.5インチ内部ベイが計8台分ありましたが、使用しないので撤去済。
今回使用する電源。

電源は、パソコン全体の消費電力に対して十分な余裕を見ましょう。
この電源は1050Wという比較的大容量な電源ですが、実際1050Wも使用するわけではありません。計算上は500W前後です。
電源ユニットは、AC100VをDC12VやDC5Vに変換します。この変換効率がもっとも良いのが、能力値の50%前後ですので、そこに合わせるのが一番省エネになります。
この電源の場合、画像左下にあるように 80Plus PLATINUMですので、負荷率50%時に変換効率92%以上の規格になっています。残りの8%は、無駄な熱になると考えてOKです。同じ80Plus PLATINUMの電源でも最大能力付近では89%に変換効率が下がりますので、その分だけ余分に発熱し、電源の寿命を縮めます。
そして電源ユニットの故障は、電源だけの故障で終わる場合ももちろんありますが、最悪の場合、他のパーツを道連れにすることがあります・・・。
パソコンの中で一番ケチってはいけない部分になります。

しかし多くのメーカー(所謂BTOメーカー含む)では、高速なCPU、大容量メモリなどの価格に反映させやすい部分はスペック表にちゃんと表記してありますが、電源は貧弱なものが本当に多いです。
以前、某大手BTOメーカーのパソコンをセールに釣られて複数台導入しましたが、4台中2台が5年以内、その翌年にさらに1台故障し、全て原因は電源でした。。

電源だけ(でもないが)は、余裕をもって良いものを使いましょう。

このあたりから、しばらく画像がありません(作業が楽しくて熱中しすぎました・・・)

グラフィックボード取り付け

パソコンがディスプレイに表示を出力する方法は、
・オンボードグラフィック
・グラフィックボード
の2種類があります。

事務作業で使用する程度の場合、オンボードグラフィックで十分です。
(但し、CPUにグラフィック機能のないものを利用する場合はオンボードグラフィックは利用できません)例:i9 9900KF、i7 9700KF など、型番に「F」のつくもの

複数のディスプレイを接続したり、高解像度(4Kなど)のディスプレイを繋いだり、3D表示のゲームやVRを楽しみたい場合は、グラフィックボードを搭載する必要があります。

今回はグラフィックボードの中でも、現時点で一番性能の良い nVidia GeForce RTX 2080 Ti を選択しました。

今回使用するグラフィックボード。

これ1枚で、そこそこな性能のパソコンが2台くらい組めそうなお値段です。。
なお、世の中上には上がいますので、これを2枚連結して(NVLink)、さらにこれの倍の性能をひねり出すことも可能です。 (お財布が許せば。。)

グラフィックボードを取り付け、電源の配線を終えたところ。

このグラフィックボードはPCI-Eスロットからの給電75Wの他に、補助電源として8pin(12V150W)×2本、6pin(12V75W)×1本の3本の電源を要求します。
このケーブルはこのあともう少しきれいにまとめました。。(撮影してません)
位置的にケース裏側へ配線できないし、少なくない電流が流れるので丸めるのもよろしくないし・・・もう少し短いケーブルがあればいいのですが。

配線の様子など画像を撮り忘れましたが、 特に今回の構成のように高性能なパーツの組み合わせの場合、性能に比例して発熱量も大きいため、 ケース内はできるだけスムーズに空気が流れてくれないと冷却性能が不足します。
なのでできるかぎり無駄な配線を省き、ケース裏側を通せるケーブルは全て裏側へ配線を行っています。
あとからパーツの脱着をする際に多少面倒ではありますが、仕上がりの美しさと冷却効率を考えたら、配線の処理は面倒でもしっかりやらなければいけません。

以上で(途中細かい作業の説明をかなり省いてますが)ハードウェアの組み立ては完了。
次回は初回電源投入、システムチェック、BIOS設定 etc へ続きます。